虹の橋
天国のほんのちょと手前に、
虹の橋と呼ばれるところがあります。
特別に愛する誰かといっしょに生きてきた動物たちは、 一生を終えるとこの虹の橋にやって来ます。
そこには草原や丘が広がり、可愛いあの子たちはみんなで駆け回って遊ぶことができるのです。
食べ物も水もたっぷりとあり、
太陽の光は満ちあふれ、
あの子たちはあたたかく、そして幸せです。
病気だった子、年老いた子、傷ついた子、
体の不自由だった子… みんな元気を取り戻し、元通り、丈夫な体になります。
過ぎ去っていったあの日の夢の中のように。
みんな幸せで、満たされています。
たった1つのことを除いては。
あとに残してきてしまった、愛するあの人に会えないことが淋しいのです。
あの子たちは、みんなでいっしょに駆け回って遊んでいます。
しかし、”その時”が来ると、その中の1匹は立ち止まり、遠くをじっと見つめます。
キラキラと輝く瞳は、一心に何かを見つめ、
体は嬉しさのあまり、小さく震え始めます。
そして、仲間から急に離れると、
緑の中を飛ぶように走り出します。
そう。
大好きなあなたの姿を見つけたのです。
やがて、ふたりは再び触れ合います。
やっと出会えたふたりは、抱き合い、
そしてもう、二度と離れることはありません。
あの子はあなたの顔にキスを浴びせ、
あなたは、可愛いあの子を優しく撫でます。
それからあなたは、あの子の瞳をのぞきこみます。
長いこと会えなかったけれど、1度だって忘れたことはない、信頼に満ちたその瞳を。
そして、ふたりは仲良く
虹の橋を渡っていくのです。
こんな風に、幸せと愛の奇跡に満ちている、
「虹の橋」の入り口に、「雨降り地区」と呼ばれる場所があります。
そこではいつもシトシト冷たい雨が降り、
動物達は寒さに震え、
悲しみに打ちひしがれています。
そう、ここに降る雨は、
残して来てしまった誰かさん、
特別な誰かさんの流す涙なのです。
大抵の子は半年もしないうちに、
暖かい日差しの中に駆け出して、
仲間と戯れ、遊び、楽しく暮らす事ができます。
ほんの少しの寂しさと、
物足りなさを感じながらも・・・。
でも、1年経っても2年経っても、
ずっと「雨降り地区」から、
出て行かない子達もいるのです。
地上に残して来てしまった、特別な誰かさんがずっと悲しんでいるので、
とてもじゃないけれど、みんなと楽しく遊ぶ気になれないのです。
地上に残して来た誰かさんと
同じ辛い想いをして、
同じ悲しみに凍えているのです。
死は全てを奪い去ってしまうものではありません。
同じ時を過ごし、同じ楽しみを分かち合い、
愛し合った記憶は、
あなたの心から、永遠に消え去る事はないのです。
地上にいる特別な誰かさん達の、
幸せと愛に満ちた想い出こそが、
「虹の橋」を創りあげているのです。
ですからどうか、別れの悲しみにだけ囚われないでください。
彼らはあなたを幸せにする為に、
神様からつかわされたのです。
そして、何よりも大事な事を、
伝えにやって来たのです。
命の儚さと愛しさを。
束の間の温もりに感じる、慈悲の心の尊さを。
その短い生涯の全てを以って、
教えてくれるのです。
癒える事のない悲しみだけを、
残しに来るのではありません。
思い出してください。
動物達が残して行ってくれた、
形にも、言葉にもできない、様々な宝物を。
それでも悲しくなったら、
目を閉じてみてください。
「虹の橋」にいる、彼らの姿が見えるはずです。
信じる心のその中に、
必ずその場所はあるのですから・・・。